前半くらいまでのあらすじを聞かしてくれたが、なかなか考えさせられる話だったそうだ。笑いはなかったそうだが、本当かな。
それはともかく、それで思いだした。前回の映画「風立ちぬ」の原作だ。
モデルグラフィックスの連載時、雑誌を買おうかどうか迷いに迷って、単行本が出るまで待つことにして、それも半分くらいまでの数話しか読んでいない状態で数年が経つ。宮崎駿は金を稼ぐ気がないのでなかなか出さないのだ。そのうちに映画化の話が出て、いくらなんでもこのタイミングで原作本は出るだろうと期待していたが、なんと出ない。いよいよ宮崎駿はへそ曲がりだ、とそのまま日常の忙しさに単行本のことをすっかり忘れていたのだ。
今回の映画のついでに、「風立ちぬ」も出るかもしれない。そう思って検索すると、おおなんと単行本が出ているではないか!表紙も上品できれいだ。いやー待った甲斐があった、とその場で注文。それにしてもいつ出たんだろう、と発売日を調べると…あれ?十月?まだ八月末だが……あれっ!2015年に出てるじゃん!
なんと映画初日の三か月後に発売されていたのだった。
「なんといううかつ、あいつに気づかぬとは トルメキアの白い魔女だ!!」
げに恐ろしきは日々の過ぎる速さ。うかつに生きていると、気もつかずなにもかも傍を通り過ぎていたのだ。まあとにかく今更ではあるが読みたい。しかし行きつけの図書館には蔵書がないようなので、金を払って買うしかない。しかしいくらなんでも十年前の本を本屋で置いてあるとも思えないので、やむなくアマゾンで注文する。そう急いでないが、お急ぎ便しか選択できないので翌日に届いた。
いやいままでの大日本絵画の本でも図抜けた上品さの表紙、こいつはいい。しかもちゃんと帯までついているじゃないか。いったい何刷目の本なんだろうかと奥付を見ると、これまたびっくり。なんと初版第一刷だ。げげえ、8年たっても初版が捌けていないのか!こんなおもしろい本が。「鉄炮侍」?松本清張のやつか?いや違うみたいだが、これもまだ始まってもいないぞ。
新刊案内とか読者アンケートなんかもちゃんと挟まれていたが、アンケートはがきには抽選で毎月二十人に図書カードを贈る、と書かれている。
いまでも有効なんだろうか?