近野駅改掲示板

「淡路島農民車考」http://tkn203s.starfree.jp/専用ブログです。

ためしに脚立を伸ばして立てかけてみたが、

樹齢二十年を越えるコナラの木は見た目以上に伸長していた。

一番下にあった細めの枝、半分枯れかけていたやつは切ることができたが、その上にある二股に別れた幹まではちょっと手が届かなかった。いや、手は届くが登るのは危険。ここは無理せず断念することにした。こういう場合になにか登る方法があるかと調べてみると、「ぶり登り」なる方法があるらしい。10メートル以上のロープに五十センチほどの木の棒を2本ずつ幹に括りつけ、上に上がったら下のを外すことができ、それをまた上部に括りつける、を繰り返してどんどん登っていく。降りるときは、木に抱き着いてずるずるとずり落ちていく感じだ。

棒を括りつけるのには、かなり複雑な括り方なので、これを覚えるのが難しい。そしてそれを上からロープを振って外すのも、簡単そうで難しそうだ。だからこれもちょっとやめておこうと思ったが、それならば脚立を伸ばして上がるところまで上がり、そこからは幹の股にロープをかけて足掛かりをつくればいいのではないか?足掛かりは二か所あれば十分だ。一番下の幹の股に上がることができれば、あとはたくさん枝分かれしているので、頭頂部から枝を払っていけばいい。

そういうことをやろう、と計画したが、午前中はまず軒瓦の修繕をすることにした。スーパーXでくっつけておいた割れた瓦を防水セメントで補強。されに、まだ屋根にのってはいるが、下の瓦が飛ばされた余波でずれてしまい、端っこが欠けて表面のいぶし銀がなくなった瓦もあるので、そのざらざらした欠けにも防水セメントを塗布。ここから雨水が瓦の内部に浸透していくかもしれないからだ。そして、近くの法面から採取した土を練って屋根土とし、従前の乾いた屋根土の隙間に詰めて、その上に修復した軒瓦を載せる。本当は、瓦の釘穴に釘を打てればいいのだが、そこには上にある瓦がかぶさっているので打つことができない。瓦とは、下から順に置いていくからだ。

雨樋も折れてしまったので、これは近所の竹藪から採取した真竹の太いやつを割って代用する。一応ペンキを塗ったが、どうせいつか腐るので、また交換しなければならない。

お次は、一人暮らしを始める次男たれ助のための「室内用洗濯物かけ」を組み立てる。すでに塗装は済んでいて、コーススレッドで補強して完成。引っ越しは四月一日だ。

そんな感じで午後三時になってしまったので、コナラの木に取り掛かり損ねた。仕方ないので、実家の近所に移住してきたSさんのところに、木を取りに行くことにする。実は最近、淡路島には移住者が激増しているのだ。淡路島のなにがいいのか、正直私にはわからない。しかしまあ、限界集落になろうとしている地元に人が増えるのはいいことなのだろう。そして空き家に越してきた都会の人が、伸び放題になった庭の藪を整理するのは大変な仕事だし、切った木を処分するのもオオゴトだ。木なら私はいくらでも薪として使えるので、親切心で貰うことにしていた。

しかし現場に行ってみると、中途半端な位置で切った、しかも剪定されないまま伸び放題になった自然萌芽の、薪には向かない木ばかり。薪というのは、なるべく枝分かれのないまっすぐな三十センチほどのものがベストで、ぐねぐね曲がったり、細い枝がすこしでもあると死ぬほど邪魔になる。まだ生えている段階から私が切れば、こんな部分から切ることはないのに、と言ってもしょうがない愚痴も出てこようというものだ。しかも運ぶ車がキューブときているので、そのまま積むと嵩張ってしまい、いくらも積めなくなる。しょうがないので、鉈と剪定鋸で枝を整えるのだが、乾いたのは固いし、しかも生乾きのが混じっているのですぐには燃やせない。乾いていればどんどんストーブにくべるんだけどなあ。

もっと貰っていきたかったが、うんざりしたし時間もないので適当にしておいた。それでも、長くて太いのはいいサイズにできなかったので、家に持ち帰ってから明日の仕事にする。まだキューブに積まれたままなのだが、明日は半日仕事で、しかも図書館に本を返して新しいのを借りなければならない。

時間がないのだ。

忙しいのだ。