たしか去年の七月に虫歯の治療をしたはずだったが、先週にもう新たな虫歯ができた。
しかも気のせいか、去年治療した歯と同じ歯のような気がする。
いや、もしかするとその隣の歯かもしれない。しかしそれにしても、レントゲンを撮ったのだから、ひととおりの歯を診ているはず。そのときに虫歯がなかったとしても、一年あまりで神経にまで達する虫歯の穴ができるものだろうか?だがまあ、そこで腹を立ててもへそを曲げても歯が痛くなくなるわけでもないので、同じ歯医者にいった。
医院は同じだが、担当する医者は違った。別に指名したわけでもないが、今回の医者はいちいち今なにをしようとしているのかを説明しながら治療してくれるので、かなり納得しつつ任せておける。しかし神経の処置をする際に、切削用具が足りなくなってしまったことが二回も起きてしまった。つまり、一回目で手持ちの錐が全部ダメになり、そのあと用意した錐も二回目でまた尽きてしまったのだ。目標の歯の神経は三又に分かれていて、その一番大きな神経の穴の底まで届く前に錐がダメになったそうだ。
そこで腹を立ててもへそを曲げても、治療がすむわけでもない。
仕方ないので来週も行くのだが、はやく治ってほしいのだ。その医者は週に二回しかその医院に来ない(たぶん、他の医院とかけもちしている)ので、連日の治療はできない。だからよけいに時間がかかってしまうのだ。
それにしても、去年の治療時に歯磨きの指導をうけて、弓のような糸ようじと、細い針金に毛が生えた楊枝を歯磨きに追加した。それまでも普通の歯ブラシと、固くて短い細筆のような歯ブラシ(歯周ポケット用)を使っていたので、計四種類の道具で歯を磨いていたのに、虫歯菌には刃が立たなかったのだ。ちくしょう。
件の歯医者に言わせると、
「どんなに上手に磨いても、80パーセントしか磨けていないんですよ。だから年に四回くらいは歯医者でメンテしないと」
…そんなことを言っても、面倒臭いじゃないか。
時間と金と、淡路島ではガソリン代がかかる。
まあ、そこで腹を立てても……もういいか。
はやくちゃんと食べ物を噛みたいなあ。