近野駅改掲示板

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次から次へと…!

家の南東側はずっと空き地である。そちらに面した家の板壁には、奥行き五十センチばかりの薪棚を増設してあり、先日、その薪棚がようやくカラになった。すっきりした気分でその様子を眺めていると、すっきりした気分でいる場合ではないことに仰天した。

薪棚の床はあらい簀子状になっていて、地面からもに十センチはあげて風通しをよくしてある。その簀子がシロアリに食われていたのだ。構造材である太い角材は、その断面の半分以上がダメになっている。しかもだ、シロアリの進路である「蟻道」と呼ばれる木の粉の道が、コンクリの布基礎を這い上がって板壁にまで届いているのだ。

これはまずい。薪棚なんぞは、使い古しの廃材からこしらえた素人細工なのでどうでもいいが(いやそれなりに残念だが)、家の柱や梁にこられると本気でまずい。板壁の下端は、すでに指で押すと崩れ始めている箇所がいくつかあり、目の高さまで蟻が食った道も一本ある。薪は割る前からシロアリがいる場合があるので、そこから板壁に移ったのだろう。

さらに悪いことがある。

その南東側は、道路に向かって車庫にしてあるが、採光のため畳四畳分の開口部をあけている。真ん中と道路側の端に柱が一本ずつ、その間の空間は×の字に筋交いで構成されている。この×の字の下端は腰の高さくらいで、地面から腰の高さまでは板壁だ。板壁といっても一枚板ではなく、居室部分の壁同様の厚み(断熱構造はないだろう)がある。×の字と柱は、十分に太いので構造としては強いが、下端はほ吹き曝し。壁の厚みのと柱の太さの分、雨水がたまりやすい水平の部分も多いのだ。×の下端と垂直の柱が接する箇所は特に水が集中する。案の定、そこが腐って、固定用のコーススレッドがむき出しにまでなっていたのだ。

この×の字の空き地側には、薪棚から続けて低い庇をかけて、日曜大工の端材や、家庭菜園に使った杭、そこらへんで拾ってきた角材なんかを置いていて、そこからもシロアリがわいたのが、どんどん壁の内部に広がっている可能性がある。

こうなった原因は、ふだんから見えないところを作り出して被害に気付かず、シロアリのいる材をやたらに溜め込んだ私にあるのは明白だ。いったいシロアリがどの程度まで家の構造まで達しているか、確認をしなければならないが、板壁を剥がないとわからないのだが、板壁は高さ三メートルはある。しかも隣同士の板壁は横断面が凹凸の嵌め合いになっていて、接合部にはさらに目板を打ってある。かんたんに言えば、空き地側の板壁すべてを剝ぎ取らないと内部は見えないことになる……。これはちょっと、片手間にできることではない。

すぐにできる対処療法として、廃エンジンオイルに頼ることにした。

不幸中の幸いで、先週はすこぶる気温が高くて乾燥していた。流動性の増した廃油は、乾燥しきった板壁にどんどん吸収されていく。この毒性と粘性のある廃エンジンオイルの中で、生き延びる昆虫がいるとは考えられない。環境保護の面からは全然推奨されないが、いまはこれに頼るほかない。

×の字の腐りにも、これでもかと塗りたくる。板壁にもこの部分にも、水性の浸透性塗料は塗ってあるが、その表面だけ残して内部が朽ちているのだ。板壁の下端にも、できるだけ刷毛を差し込んでいく。シロアリが食った道にも何度も塗りこむ。内側に通じているであろう節穴にも塗りたくる。毛細管現象ですこしでもシロアリにま直接達してくれれば……。

シロアリ発生源である、端材や腐りかけた古材は、すべて薪として燃やすために割ったり切ったりした。なかには塗装されたものもあって躊躇されたが、この際目をつぶった。ただ少量のベニヤ板だけは燃えるゴミとして切り刻んで捨てる。

一週間たったが、板壁の下端からはシロアリの食べカスは出てこない。×の字の下の板壁は、内側から油が染み出した跡が出てきた。これでなんとか、収まってくれればいいのだが。家の南側は車庫と倉庫になっているので、倉庫の床にもなかから廃エンジンオイルを塗っておくといいかもしれない。そこは柱も直接見えるのだ。

一句できた。

 

 やることは なくなるまえに できてくる   近野新